乳がんとは? ご存知ですか?乳がん発見の70%は自己検診がきっかけです。

乳がんとは?

乳房には、「脂肪」と「乳腺」組織があります。
乳がんとは「乳腺」から発生する癌で、脂肪からは発生しません。

乳房:図 乳ガンは、他のがん同様に細胞の遺伝子異常の蓄積によって発生することが分かっています。
また、発生・進展ともにホルモンに依存している点が乳がんの特徴です。

大人の女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に15〜20個並んでいます。それぞれの乳腺は小葉に分かれ、小葉は乳管という管(くだ)でつながっています。
乳がんの約90%はこの乳管から発生し、乳管がんと呼ばれます。小葉から発生する乳がんが約5〜10%あり、小葉がんと呼ばれます。

乳がんのできやすい部位

乳がんのできやすい部位:図 乳頭を中心に乳房を5部位に分けると、外側上部が44.8%と一番多く、次いで内側上部23.2%、外側下部13.7%、乳輪下部7.6%、内側下部7.3%と続きます。
また、左右差の点では左の乳房の方が、がんができやすい傾向にあります。

早期乳がんとは?

「早期乳がん」とは、癌の腫瘤(かたまり)の大きさが2cm以下で、胸壁に固定されておらず、かつ皮膚病変(むくみ、浸潤、潰瘍、衛生皮膚結節)がなく、転移や転移の可能性があるリンパ節の腫れなどがない状態をいいます。

  • 触診でわかるしこりの大きさが2cm以下
  • 乳房の皮膚の変異がない
  • 乳房以外の部位への転移がない
  • リンパ節への転移がなく、腫れ・硬いしこりもない
  • しこりが胸壁に固定されていない
  • 組織学的にみて早期と診断される「非浸潤がん」や「小葉がん」
  • パシェット病(乳頭・乳輪部の皮膚浸潤が見られる乳がん)

乳がんの種類

乳がんは乳管(小葉上皮)から発生します。乳がんのシコリは硬く、表面がでこぼこしており、周辺組織との境が分かりやすいもの(非浸潤ガン)と分かりにくいもの(浸潤ガン)があります。

ひしんじゅん
非浸潤がん
・乳がん全体の5〜10%を占める。
・乳頭からの分泌物があったり、マンモグラフィで発見されることが多い。
・乳管上皮に発生したがん細胞が基底膜(表皮と真皮の間にある厚さ0.1µmの薄い膜)を破壊・浸潤せず、上皮内に留まっている状態のがん。
・女性ホルモン(エストロゲン)に依存している。
・リンパ節転移や遠隔転移を起こすことはなく、完全に切除すれば完治する。
しんじゅん
浸潤がん
・基底膜を破り、浸潤した状態の癌。
・リンパ節転移(ワキ・胸骨傍リンパ)などの転移を起こす。
・シコリ(種瘤)として発見されることが多い。

増加する乳がん

日本では今、「乳ガン」が急増しており、年間約4万人が乳ガンに罹っています(A)。
1960年頃、乳がんで亡くなる方は年に2000人弱でしたが、現在は1万人以上の尊い命が失われており、この50年で5倍以上に増えていることになります(B)。
乳がん死亡数の年齢別の年次推移を見ると、50歳以上、閉経後の増加が顕著になっています。日本より乳がんに罹る人の割合が高い欧米でも、やはり50歳以上の乳がんが多くなっています。

年齢別がん罹患者数の推移:図 年齢別がん死亡数の推移:図

検診率50%以上を目指して

乳がんは、1mmから1cmになるまで15年かかりますが、1cmから2cmになるのは2年もかかりません。だからこそ、2cm以下の早期乳ガンを発見するためには、毎月の自己検診と、少なくとも2年に一度のマンモグラフィやエコー(超音波)などの乳がん検診が必要なのです。

欧米諸国がお手本に

乳がん検診は、欧米諸国によって先行して行われてきました。その結果、欧米では乳がんに罹患する人が増えているにも関わらず、死亡率は減少傾向にあります。これは、検診によって乳がんの早期発見が可能となり、がんが進行する前に治療を受けられた方が増えたためです。

日本の検診事情

日本の検診事情 日本では、1987年に視触診による乳がん検診が導入されました。しかし、視触診だけでは明らかな死亡率の減少は見られなかったため、1991年より厚生省(現:厚生労働省)による研究が開始され、2003年に「50歳以上の女性に対し、2年に1回の視触診とマンモグラフィを併用した検診」が開始しました。
しかし、実際に検診を受けた方は対象者の20%以下と推定されており、厚生労働省の目指す“検診の受診率50%”は達成できていません。死亡率減少のためには受診率70%以上が理想と言われており、米国ではそれを超える受診率80%を目指して各種の取組みを進めています。

受診率向上を妨げる要因

日本では検診率が上がらないのでしょうか? なぜ、日本では検診率が上がらないのでしょうか?
その原因としては「どこで診てもらえばいいのかわからない」という声が多くなっています。
また、都市部であれば検診施設まで容易に行くことができますが、地方では交通の便が悪いところもあり、「行きたくても行けない」といった事情もあるようです。
今後、乳がん検診の受診率を上げるためには、これらの問題を解消し、きちんとした検診ができる体制づくりや啓発活動がかかせません。

セルフチェックで早期発見を

また、乳がんは自分自身で発見できる数少ない癌のひとつです。月に1度の自己検診(触診)によるチェックは早期乳ガンの発見にもつながります。どんな検診方法でも100%はありえません。しかし、自己検診はリスクも費用もかからない非常に優れた方法です。
国の検診体制づくりにしても、個人が検診を受けるにしても、それなりの費用がかかります。しかし、実際に乳がんに罹ってから治療するとなると、さらに時間と費用がかかります。そして何より、身体的な負担が大きくなってしまいます。
このことを念頭に、「自分の健康は自分で守る」意識をもって、一人ひとりが月に1度自己検診と定期的な乳がん検診を心がけることが大切です。

  • 乳がんの検診方法
  • 乳がんの症状と進行
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